〜スタッフオカメの保育日誌より〜
ふかしたサツマイモでおやつづくり。丸める途中、子どもたちの小さな手からイモがポロポロ机の上にこぼれてしまう。慌ててこぼれたのをつまみ食い。けれどもおやつを指をなめながら作るのはよくないということで、ひとまずガマンすることに。
こぼしたイモを食べるのは最後のお楽しみにとっておいて、イモを丸めるのに皆せいを出していると、フラリとホウサク(4)がやってくる。
「おかし作る?」と聞くと、「僕つくらない」とこたえつつも無邪気に机の上のこぼれたイモをパクパク。皆、「そりゃないだろー!」と非難の嵐。特に姉のマキノ(5)は厳しく、「もー!つくってもないのにー!」と責め立てる。
実は私もおこる子供たちに同調してた。その時、モモコ(5)がひと言。「ホウサクー。ほら、こっちにいっぱいあるよ」。
もちろんマキノの気持ちもわかる。けどモモコのこの広さ。私のせまさ。モモコらしくていいなあと思う・・・・・
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開放感たっぷりの子供たちのやりとり。モモコのやさしさ(おおらかさ?)にふれ、ハッとするオカメの心情も目に浮かぶ。
もちろん僕もオカメ同様、モモコがよくてマキノがわるいなんて全然思わない。ただ子どもたちがときおり見せてくれるこういった底が抜けたとでもいおうか、規格外の言葉や行動には目からウロコだ。
そしてその時、僕は元気になるのだ。
TOECフリースクールの前を流れる岡川に冬の風物詩、いろんな種類のカモが群れになって泳いで(浮かんで)いる。
「おーい!カモさーん!」土手からケンタロウ(5)やヒナコ(6)たちが大声で呼びかける。「逃がしてしまうぞ」。止めにかかるハルヒサ(5)の心配をよそにカモは逃げもせず悠然としている。アヤハ(5)がすまし顔で「カモは日本語わからないのよ」と言うと一同納得。のびやかで楽しい光景だ。
親や教師はとかく子どもを評価の目で見がちで、あれこれ判断して、大人の価値観で今起きていること以上の方向へとうながそうとする。その意欲をとやかく言うつもりはないが、大人の想いより先にまず、今目の前で起きている出来事や場の流れをそのまま感じてほしいものだ。
そしてそれをただ認めてほしい。つい見逃しがちな今ここにある健やかさとつながる時、大人も自分の内側に在る強さややさしさとのつながりを回復させ、きっと元気になるはずだ。
子どもたちと大声で笑いあったらカモが一斉に飛び立った。