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便利な子に育てたいですか

TOECフリースクールの小学生、ミズキ(3年)ソウタ(2年)ミト(1年)ホダカ(1年)とタケノコ掘りに行った。ワゴン車1台で行きたい時に、行きたい所へ行けるのは「小さな学校」(スモールスクール)の強みだ。

到着するやいなや、やぶの中に頭をもたげたタケノコを次々と発見。早速、掘りにかかるが、大人でもタケノコ掘りは難しい。子どもならなおのこと。普通、タケノコ掘りには「ハシバ」と呼ばれる刃の部分の長いクワを使うが、重くて持てない子どもたちは庭仕事用の小型シャベルとクワで掘っている。なかなか忍耐のいる作業だ。

ソウタの見つけたタケノコは地下に大きく埋まっていて、掘り進むうちにその大きさにビックリ。ミズキのは、山の斜面の太い竹の際に生えていて、実に掘りにくい。ホダカとミトは二人協力して、一本のタケノコを掘っている。それぞれ作業は難航するが、彼らはへこたれるどころか、ますます闘志?をわき上がらせ、何かある度に大きな歓声を竹林に響かせた。

タケノコは十分に周りを掘り、生えている方向を見極めて、地下茎とつなっがている部分を断ち切って収穫する。急いでクワを入れても方向が違うと、いつまでも断ち切れないし、強引にクワをこねると、肝心の食べる部分大半が、土の中に埋まったまま割れてしまう。失敗も重ねながら、それでも何本もタケノコを収穫した子どもたちの顔は満足感でいっぱい。

続けて工作用の竹も切って帰ろうと、気に入った竹を切ることに。これまた苦労して、一本の竹を切り倒す。「ドッサーン」。巨木が倒れるかのように、ゆっくりと切られた竹が倒れる様は豪快だ。子どもたちにとり、さぞや感動的だろうし、大きな自信にもなっていることだろう。

タケノコを持って帰って皮をむくと、意外に小さい。米ぬかでアク抜きをしなくては。「アクって何?」「米ぬかって何?」学びは広がる。

何でもお金で手に入る便利な時代が見直され始めた。便利な生活をあえて手作業に変えて、生活体験を子どもと共有しよう。以前読んだ朝日新聞の天声人語に、便利の便とは「人を鞭うって従順ならしめ、使役に便すること」と、白川静さんの「字統」にある、とあった。

鞭うつことはもちろん、従順で使役に便な子に育てる時代はとっくに終わっている。