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お金で買えない、とっておきの宝探し

自然スクールTOECでは、毎年冬に5日間、波照間島スタディーツアーをおこなっている。波照間島は南十字星も見える日本最南端の島(有人)だ。ホテルもコンビニも信号もない。周囲14キロの小さなこの島は、世界一美しいと言われるニシ浜をはじめ、手つかずの自然にあふれている。

我々はクリスマスというのに海で泳いだり、サトウキビの収穫の手伝いをしたり、つりをしたり、浜辺で夕日に見入ったり、夜中に星を観に行ったりと自然や人や暮らしとたっぷり触れあった。

しかし、何と言っても圧巻は、「宝探し」だ。宝探しとは一日まるごと使って、ひとりひとりがお金で買うことのできない人生で大切な宝物を発見してくるというプランだ。

「高台で寝そべってずっと広い空を見上げていた。のんびりしてキレイで、こんな時間が宝物」。中2で、年が明けると受験だと早くもプレッシャーの中にいたタクトのまなざしにゆとりが甦っていた。

「自転車を借りてどこまでも自由に走った。こんな自由な気持ちになったことが宝物」。小6という年頃もあって、ヒデキは少々悪ぶった態度も見せているが、それとは裏腹に持ち前の素直さで今の気持ちを語った。

ケイコは参加者で唯一の大人。中学校教諭をしている。ここへ来るまで、学校での忙しさや様々な出来事で心も身体もボロボロだったらしい。それが学校では見られない子供たちの表情や気持ちに触れ、次第に癒されていったようだ。「宝物は道草。そして迷い道。ゴール目指して走ってばかりだった。少々迷っても、道草くっても逆にそれが大切とわかった」。涙ながらに語る顔は晴れやかだった。僕や子供たちはもちろん、集まってもらった地元の方々も皆真剣にどの子の話にも聴き入った。

島では長老のような存在のヨネヒコさんが前ふりもなく語り始める。「僕は島を3年間だけ離れ、名古屋に行ったことがある。もう何十年も前のこと。けど僕はその時のことを今も引きずっていて、悩みの中にいるんだ」。泡盛片手のとつとつとした語りは説教や訓話とはほど遠い心情の吐露だった。くわしくは語られなくとも十分皆の心に届いて涙になった。

小4の子から70歳過ぎの長老までが共感に包まれ、悩みや迷いごとをその場で抱きとめられた。やがて三線と島唄の名人でもあるヨネヒコさんの演奏が始まる。興にのって踊りだす。調子づいた僕たちは阿波踊りも踊って一層皆が一つになった。

まさしくそれは僕が島で見つけた宝物だった。