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僕が僕であっていい!

毎年1週間、沖縄県の渡嘉敷島にほど近い無人島「儀志布」で行われるTOEC沖縄無人島キャンプは、2007年に20周年を迎えた。

無人島の周囲は60種類以上のさまざまなサンゴ礁に囲まれている。透明度60メートルの美しい海には色とりどりの熱帯魚はもちろん、1メートルもあるローニンアジやウミガメ、マンタも姿を見せる。島には野性のヤギが生息し、アダンの林には大人のにぎりこぶしより大きなオアカヤドガリが無数にいる。白い砂浜、コバルトブルーの海、緑の島陰…。いくら期待してもらっても決して期待を外すことはない。まさに楽園だ。

昨年他界された海人・古波蔵茂守さんのサポートでタコ・イカ・エビ・シャコ貝・サザエなど必要な分だけ宝の海からいただく。ミーバイ・ブルクン・オジサンと釣れる魚はどれも珍しく、思いのほかおいしい。

20年の思い出は感動的でいつまでも色あせない。夜中にすっぱだかで海に浮かびながら語った当時小6のヒロユキは波に揺られながら僕に一言、「男同士やなあ」。そのヒロユキも今や医大生だ。

あまりの星空の美しさに、夜中浜辺で隣に寝ていた当時中2のジュンを起こす。目を覚ましたジュンの目にいきなり満天の星が飛び込んでくる。感嘆のため息の後一言、「星じゅう空だらけや」。そのジュンもこの島で、海とともに生きることを決意し、水産高校から水産大学校へと進んだ。

スコール(通り雨)が来るといち早く、さっそうとビキニになり、シャンプーをしていた通称ワサビは、4人の子どもを育てるたくましいお母さんに。向かいの島の滝へ水浴びに行った際、見つけたテナガエビを素手で次々と捕まえて周囲を驚かせていた当時小6のユウスケも結婚した。

20年前、第1回沖縄無人島キャンプに参加した当時小3の近藤君の日誌には、最後のページにクジラのイラスト入りでこんな俳句(!?)「オキナワやクジラとびこむ水の音」が大書きされていた。ばかばかしいが、何ともおおらか。その近藤君も30歳を超えているはずだ。

そして今年も、1週間無人島キャンプが開催される。過剰な刺激、モノ、情報、便利さ、それらをすべてリセットしてくれる無人島での暮らし。

「僕が僕であっていい」。

生涯を支える美しい日々を今年も子どもたちと僕はともにつくる。