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小さな箸袋から、生命の循環を知る

TOECフリースクールでは、手づくりの箸袋に手づくりの自分の箸を入れ、持ち歩く「マイ箸運動」が広がっている。発信源はスタッフの通称プーさん。某市民派県議の出している通信のコラムを読んだのがきっかけ。

それによると、日本で1年間に消費される割り箸は248億膳(新築木造住宅万軒分)。そのうち、材料の97%を占める中国では、森林が激減してしまっているというのだ。そのせいで黄河が干上がり、生態系がくずれ、洪水や黄砂の発生も深刻になってしまっている。

一方、日本は豊かな森林が手入れされず、放置された結果、森林としての機能がおとろえ、土砂が流出し、災害や、川や海の水質悪化をひきおこしている。マイ箸には中国や日本の山を守り、温暖化を食い止め、子供たちの未来を守っていきたいというメッセージがこめられているのだ。

プーさんらはマイ箸を愛用する人なら誰でも入会できる「ちょいエコクラブ」を結成し、「おはし袋ちくちく隊」と称して不用の服やはぎれを集めて箸袋づくりにはげんでいる。この活動、大いに共感を呼び、フリースクールの親御さんはもちろん、子供たちの関心も集めている。

ナイフ片手に箸を削り、自分用の箸袋をうれしそうに持ち歩いているのだ。ヒロちゃん(ミヅキ・小1の母)なんぞは、公園などで割り箸を使っている人に直接声をかけ、ちょいエコクラブの趣旨を大いに語り、活動の輪を広げているというのだから驚きだ。

こういった活動は何より当人たちがおもしろがっているところがポイント。ある日はマイ箸をもったものの、いまひとつ食堂などで使うのに抵抗があるという話を聞きつけ、お昼ごはんをうどん屋さんでいっしょに食べてマイ箸デビューをサポートしたり、高松にあるマイ箸をもっていくと安くなる店へのツアーを計画したり。何ともゆるやかで楽しそうだ。

そして、このマイ箸がきっかけになって環境やゴミ、食の問題などに関心が高まり、マイ箸だけでなく、エコバックを持とう、つくろうとなり、省エネやスローライフに目が開かれるなど、その学びの広がりははかりきれない。そして何より、政治や社会の関心が高まり、市民として目覚めていっていることも意義深い。

TOECフリースクールのプーさんと子供たち発信のこの小さな箸袋運動が、あらゆる生命の循環を守るムーブメントに広がっていくことも、あながち夢ではないとマイ箸を手にワクワクしている僕である。