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「僕ワカメ食べられない」さて、どうする?

カウンセラーの六浦基さんはよく、「問題のある子どもはいない。問題のある親と不幸な子どもがいるだけだ」と若い親を叱責していた。何とも手厳しい言葉だが、子どもを悪者にしないで、親がどうあるのかを見つめ直すという点においては僕も同感だ。

ただし、六浦さんのいう問題のある親も、そうならざるを得ない事情や気持ちがあるはずだし、そもそも問題のない親などいないのだから、自分の問題に気付き、互いに受け止め合えるような「育ちあう場」こそが大切だと僕は考えている。

TOECフリースクールは、そういった意味で親やスタッフが育ち合える場「ペアレンツグループ」を月2回開いている。2回のうち1回はフィーリンググループといって、子育てに限らず困っていることや悩んでいることなど「今の気持ち」に焦点をあて、互いに丁寧に聴き合う場だ。

その場は悩みや問題の答え、解決を目的にしてはいない。自分や他者の気持ちに丁寧に触れることで、見失いがちな自分を取り戻し、追いつめられがちな気持ちに風を入れることが目的だ。

もうひとつの場は親子や夫婦関係が楽で意味深くなるためのレッスン、コミュニケーションだ。先日は、あらかじめ子どもが投げかけてくる言葉へ応答を書いておき、それをもとに、2人組で親役と子ども役を交代で演じた。普段自分が言っている応答を、相手(子ども)の立場で聞くとどう感じるかということを理解する演習だ。子どもの「僕ワカメ食べられない」という言葉に対して、親からは様々な応答があった。

「なんで食べられないの」(理由を探し、親が頭で納得したがっている。)
「好き嫌いはダメよ、ちゃんと食べなさい」(頭ごなしの禁止、命令)
「おいしいよ。栄養あるのよ。大きくなれないよ」(説得やアドバイス)
「はい、がんばって!えらいね。すこしずつ。すごいすごい」(激励、ほめてコントロール)。

他にも様々な応答があったが、どれも子ども役で聞いてみると、自分の気持ち「僕ワカメ食べたくない」という気持ちが親に届かなかった。親の意図は意図として大切なのだが、「ワカメ嫌いなのね」「食べたくないのね」と共感的理解を示すメッセージがあって初めて、心のキャッチボールが成立する。

皆さんはどんな聴き方をしていますか。まず子どもの意見を聞いていますか。そして自分の気持ちを誰に聞いてもらってますか。