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尊敬と共感にみちた、子へのまなざし

TOECフリースクール小学部の「親子で自由な学校」はユニークだ。親が学校に来るわけだが、子供の様子を参観するわけではない。みずから自由な学校の生徒になって、親自身が、一日体験してもらうのだ。

ファミリー紹介が終わったら、親子別々になってモーニングミーティング。困っていることや今日やりたいことを話しあった後は、「静かな時間」と名付けられているいわば「自習」のような時間。特に決められた内容は無く、子どもたちは漢字や計算の練習、教科書やドリルをつかった学習等をレベルやペースにあわせておのおのがとりくんでいる。ルールはシンプルで「静かにいること」だ。

この日の親たちの静かな時間はというと、ユキオ(ミト・小2の父)は早速すずりを出してすみをすりはじめる。憲法の前文を毛筆で書くらしい。ヒロちゃん(ヨコテミヅキ・小1の母)は絵てがみをかきはじめた。ヒトミ(フジイミヅキ・小4の父)はセンター試験が載っている新聞をもってきて解きはじめている。1時間足らずの静かな時間後、舞台は田んぼや畑へとしだいに広がっていった。

読書、習字、絵てがみ、ピアノ演奏、脳トレーニングドリル、キャッチボール、サッカー、凍り鬼、コマまわし、メンコ、なわとび、語り合い等々すっかり童心にかえった親たちの遊学は多種多様で子供同様バイタリティーに富んでいて、しかもくつろぎに満ちていた。

以下は親たちの感想の一部。

「自由な学校の子どもたちはこのペースで6年間過ごしているのだ。単純にうらやましい」(モトヒロ、ソウタ・小3の父)

「たのしかったー。おもしろかったー。とことんあきるまでやれる時間があった。それを横でちゃんと感じながらみていてくれるスタッフがいた」(マサヨ、フジイミヅキの母)

「今日は何しようかなと(考える)間があった。いつもは追われていてあの間がない。元気をもらった実体は自分を感じるあの間にあった」(エッチャン、ホダカ・小2の母)

「全身全霊で没頭。気持ちよかった。すごいことやってる自由な学校の子どもたちを肌で感じた」(タカコ、トモキ・小1の母)

親の瞳も子供以上に輝いていた。子供へのまなざしは共感と尊敬にみちていた。そしてそのことは、子どもにとって何よりの成長の糧となっているのが見てとれた。