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子どもの異常、反発心は健全なプロセス

このところ、不登校、拒食、過食、不眠、暴力、引きこもり等々で悩む高校生、及びその親たちのカウンセリング(面談)が続く。様々な症状は本人だけでなく、家族も追いつめる。ことに母親は子育ての責任を背負い込み、自分を責めがちだ。家族や周囲の人々からの「善意ではあるけれども無神経な言葉」に傷つくことも多い。

高1で突然、不登校になり暴力もふるい始めたA君の母親、B子さんもそうだ。A君は、小中学校時代はスポーツクラブのキャプテンもするほど素直ないわゆる「イイ子」。そんなA君が親にまで暴力をふるい始めたのだから、母親として困惑するのも当然だ。

B子さんは、周囲からあれこれとアドバイスや忠告を受けているせいか、他人から言われたことを口にする時、知らず知らず怒気がこもる。それらを打ち消したくもあるのだろう。いろんな出来事の中から自分なりの仮説を立て、A君が豹変した理由、原因をこじつけようとする。その作業自体が、今のA君の気持ちや、B子さん自身の気持ちと向き合うことから逃げる結果になっているので、まさに悪循環。硬い表情が痛々しい。

一方A君は、小さい頃からずっと家族が不仲でケンカが絶えず、イイ子で振る舞うしかなかったこと、そのイイ子の演技をやめた時、猛烈に反発心がわいてきて、どう自分をコントロールしていいかわからず暴力になったことなどを親のいない席で切々と語った。

この場合、彼に「社会とは」とか「親とは」とかいった一般論は不要だ。誤解を恐れずに言うなら、彼の稚拙な行動は別にして、この反発心は実に健全なプロセスであり、コントロールしがたいほどのエネルギーは宝だ。B子さんにとってもA君にとっても、このプロセスが、今までの親子関係を見直し、真に育ち合う関係を育むきっかけとなることを祈らずにはいられない。

TOECフリースクールのスタッフ、オカメが泣ける話をしてくれた。

オオカミと7匹の子ヤギの絵本を読んでいる時のこと。子ヤギをオオカミに食べられてしまい、お母さんヤギが悲しみにくれる場面。「お母さんヤギがどれだけ泣いたか、おわかりでしょう」と読み進めると、ショウマ(4)が真顔で、「そりゃ、そうだろ!」と大声で言ったという。

愛が届きあっていることは心を揺さぶる。探さなくてもいいのだ。今、目の前にある愛を受けとめることだけだ。