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私の不安は、私自身の問題だった(創太・母)

執筆者:井上隆子(創太・母)

学びたいことを、学びたいときに、自分の意志で学ぶ。少し大げさかもしれないが、私は自由な学校をそんな場所だと考えている。特に私にとっては「自らの意志で」というところが重要で、創太には強制されて勉強するのではなく、心の内側からの欲求に応えるために学んで欲しいと願っていた。

ところが…である。あらゆるフリースクールの常なのかもしれない。母の心は時々揺れるのであった。「学びたいことをちゃんと見つけられるの?」「自らの意志に任せていて大丈夫?」「学ぶ時間というより、ほとんど遊んでいる時間?」子どもを信頼できなくて、どんどん不安になってくるのだ。夜学で…ペアレンツで…スタッフと個別に…夫と…いろいろ話し合った。私自身も何度も考えた。「学ぶ」ということを。

そんな時間を過ごして、ひとつ気がついた。私の不安は私自身の問題なんだということを。私の不安を解消したいから、私の理想通りに自学で学んで欲しい、というのとは違うということ。そう思えると、再び子どもを信頼する力が湧いてきたから不思議だ。

夏休み、ある科学館の「遊びながら科学を学ぼう」という企画展に行った。波型レーンの上のどの場所からボールを転がしても、外には飛び出ず中央にボールが集まってくる…というようなものだったと思うのだが、創太はそのコーナーにくぎづけ。何回も何十回も、黙々とボールを転がしていたかと思うと「そうか!わかった!外に飛び出さんように、すこーしカーブしとるんよ!」と大きな声。満足げな表情。

なんだ、創太は学びたいことを、学びたい時に学ぶ力を、疑問に対する答えを見つける力をちゃんと持っているじゃないか。ちょっと感動だ。創太は今2年生。これから先も、私の心はまだまだ揺れることがあるだろうなぁ。でも、揺れる余地があることは大切なことなんじゃないかとも思っているのだ。

揺れた時には一緒に自学を創っていく子ども達や大人達としっかりその先を見極めればいいのだから。