不作にないた昨年とうってかわって今年は玉ねぎ大豊作。4月早々から間引くように抜かれる若い玉ねぎは「葉玉ネギ」と呼ばれる。市場に出ることはないが、この葉玉ネギは絶品。肉や魚とも相性が良く、スキヤキや煮魚の具材として、また天プラや野菜いためにと、どれもこたえられないおいしさだ。緑の葉まで全部食べるというのも無駄が無く気分が良い。
近隣の農家の人の中にも「ネギはキライだけど葉玉ネギは好物」という人がいたり、玉ネギよりも葉玉ネギの方が重宝がったりする人もいるくらいだ。TOECフリースクールも葉玉ネギで食べる分をみこして大量に苗を立てているのでこの間、子どもたちは葉玉ネギを十分にたんのうした。ぜいたくぜいたく。
玉ネギの収穫のタイミングは葉っぱの部分がたおれることで教えてくれる。昨日は日暮れまでかかってスタッフ総出で丸々と太った玉ネギぬきをした。ひきつづき今日は根と余分な葉を切りおとし、それを4~5個ずつ結わえて、軒下につりさぜる作業をした。こうしておくといつまでもくさらずに食べられるのである。
青空の下、地べたに座り込んでの作業は楽しい。玉ネギの香りは強烈なのだが不思議と気分がなごむ。調べてみると玉ネギの香りには気持ちを落ち着かせる効能があるということがわかった。納得。
ホウサク(4)とハルヒサ(5)がやってきて、せっせと僕の前に玉ネギをつみあげてくれる。2歳の僕の息子タイヨウもハサミで葉っぱや根っこを切り落とす作業にかかりっきりだ。手つきはあぶっかしいが大助かり。
フリースクールの子は皆働き者。5月というのに今日は気温が30度をこえる真夏日。暑い。汗をいっぱいかきながら水筒の水をぐいぐい飲む姿は、小さいながら何と力強いことか。
もちろん、彼らはお手伝いばかりをやっているわけではない。隣に植わっているソラ豆を生でかじってみたり、ちょうちょを追いかけたり、切りとった玉ネギの葉の上にねころがったりと遊び半分。いやこれは全部遊びだし、全部学びでもある。
子供をとりまく現状は、遊びといってもゲームやビデオに偏りがちだし、学びといってもおけいこごとや能力開発など◯◯教室の形をとったものに偏りがちだ。そのせいで感情があまり動かないなど、子供たちの心に深刻な影響がではじめている。
またエアコンで快適な室内にばかりいるため、まるで気温や湿度の変化に対応できないなど、これまた体への深刻な影響が出はじめている。
健やかなスリースクールの子らの笑い声が、生活体験の大切さを大人たちに教えてくれている。